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外壁塗装のスタッコ仕上げに必要な知識
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外壁塗装のスタッコ仕上げに必要な知識
外壁塗装の仕上げ方法にはさまざまな種類がありますが、中でも独特の質感とデザイン性で注目されているのがスタッコ仕上げです。スタッコ仕上げは、おしゃれで個性的な外壁に仕上がるため近年改めて人気が高まっており、広島市の戸建て住宅でも採用例が見られます。
本記事では、戸建て住宅の施主様に向けてスタッコ仕上げの基礎知識や種類、特徴、メリット・デメリットを分かりやすく解説します。
外壁塗装を検討中の方はぜひ参考にしてください。それではスタッコ仕上げについて、基本から順に見ていきましょう。
スタッコ仕上げの基本情報
スタッコ仕上げとは何か
スタッコ仕上げとは、モルタル壁などの下地に厚みのある塗材を塗り付けて模様をつける外壁仕上げ工法の一種です。モルタル外壁が主流だった時代には外壁塗装方法としてよく使われており、一軒家やマンションの外壁、塀など幅広い場所で採用されてきました。塗り材には石灰やセメントを主成分とした漆喰系の材料が使われ、施工直後はドロッとしたペースト状ですが、塗った後に乾燥すると石やコンクリートのように硬化します。このため外壁表面に強固な厚い塗膜が形成され、下地を保護して耐久性や耐水性を高める効果があります。
スタッコ仕上げの外観上の大きな特徴は、ザラザラ・デコボコとした質感にあります。砂粒など骨材を含む厚塗り塗材を使うことで、塗装仕上げとは思えない立体感のある模様を作り出せるのです。仕上がりは石造りの建物を思わせる重厚感があり、高級感や味わい深さを演出できます。近年はサイディングボード外壁の普及により新築でスタッコ仕上げを採用するケースは減ったものの、意匠性の高さからリフォームや塗り替え時にスタッコ調仕上げにするニーズも根強く残っています。
ただし、スタッコ仕上げが適用できる下地は主にモルタル系に限られる点に注意が必要です。スタッコは湿式工法(現場で塗材を塗る工法)の一つであり、コンクリート壁やモルタル壁と相性が良い反面、サイディングボード(乾式工法)など他の下地にはそのまま施工できません。もしモルタル以外の下地にスタッコ仕上げを施す場合は、下地調整や下塗りによる密着処理を十分に行う必要があります。
スタッコ仕上げの種類
スタッコ仕上げには、大きく分けて「コテ塗り」と「吹き付け塗装」の2種類の施工工法があります。いずれも使用する塗材自体はスタッコですが、施工方法の違いによって仕上がりの模様や風合いが異なります。それぞれの特徴を見てみましょう。
1. コテ塗り工法
コテ塗りとは、左官職人がコテ(鏝)という道具を使って手作業でスタッコ材を塗り付けていく工法です。職人が金コテやゴムコテ、木片、刷毛(ハケ)など様々な道具を巧みに使い分けながら、表面に模様を描いたり凹凸を作ったりして仕上げます。
職人の経験やセンスによって唯一無二のパターンを表現できるのが最大の特徴であり、「スタッコ仕上げ=職人の腕の見せ所」と言われるゆえんです。波模様、木目調、石目調、ランダムなパターンなど、アイデア次第で仕上がりのバリエーションは無限大です。熟練した職人ほど美しく個性的な意匠を作り出せるため、仕上がりにこだわりたい施主様にはコテ塗り工法が魅力的でしょう。
施工には高度な技術と時間を要しますが、そのぶんオリジナリティあふれる外壁に仕上げることができます。世界に一つだけの外壁デザインを実現できる点で、コテ塗りスタッコは他にはない魅力があります。
2. 吹き付け塗装工法
吹き付け塗装とは、コンプレッサーと専用ガン(噴射器具)を用いてスタッコ材を霧状に吹き付けていく工法です。機械を使うことで人の手よりも効率良く広範囲を塗装でき、スタッコ仕上げの施工法として現在一般的なのはこちらの吹き付け工法です。吹き付け後の仕上げ方によってさらに2種類のパターンに分類されます。
- 吹き放し仕上げ: スタッコ材を吹き付けたまま自然に硬化させる仕上げ方です。無数の小さな粒子が壁面に付着し、ザラザラとした質感が強調された仕上がりになります。いわゆる「砂壁状」「小粒仕上げ」と呼ばれるパターンで、遠目にはざらっとしたマットな外観になります。施工がシンプルで作業時間も短く済みますが、表面の凹凸が多いためホコリや汚れはやや付きやすくなります。
- ヘッドカット仕上げ: 一度スタッコを吹き付けた後、硬化前にコテやローラーで表面の凸部を軽く押さえて平らにならす仕上げ方です。吹き放しに比べて表面の凹凸が少し抑えられ、石造建築の壁のような落ち着いた模様になります。適度にフラットになることで、吹き放しよりも汚れが付きにくくなる利点もあります。ただし施工の手間が一工程増えるため、吹き放し仕上げより若干コストは上がります。
吹き付け工法全般の特徴として、施工スピードが速く広い面積でも短期間で仕上がる点が挙げられます。職人の手作業によるコテ塗りと比べるとムラが少なく仕上がりが安定しやすいことから、近年の外壁塗装では吹き付けスタッコが主流となっています。
一方で、機械的に材料を噴霧する関係上どうしてもパターンが画一的になりやすく、模様のバリエーションはコテ塗りに劣るとも言われます。しかし標準的な吹き付け仕上げでもスタッコ特有の重厚感や高級感は十分表現可能であり、施工性と意匠性のバランスが取れた方法と言えるでしょう。
スタッコ仕上げの特徴
デザインの多様性
スタッコ仕上げ最大の魅力は何といってもデザインの多様性にあります。
前述のようにコテ塗り工法であれば職人の技術により自由自在に模様を描けますし、吹き付け工法でも仕上げの工夫で質感を調整できます。外壁全体に凹凸のある厚い塗膜を形成できるスタッコは、平滑な塗装では出せない立体的な表情を持たせることが可能です。
例えば、洋風のプロヴァンス風住宅ならば白いスタッコで塗り壁風に仕上げることで一気に南欧風の趣が生まれますし、和風住宅でも落ち着いたグレー系のスタッコ仕上げで土蔵のような重厚な雰囲気を演出できます。カラーも塗材に顔料を混ぜるか、仕上げ後に塗装することで多彩な色合いに対応可能です。
模様についても、代表的なものを挙げれば吹き放しによるザラザラとした砂壁風、ヘッドカットによる石目調、コテランダム(コテ塗りでランダムな波紋をつける)仕上げ、櫛引き(くしで引っ掻いたようなライン模様)仕上げなどバリエーションは豊富です。施工する職人や業者によって提案できるパターンも異なり、施主の希望に合わせたオリジナルデザインの外壁を作れるのがスタッコ仕上げの強みです。
耐久性とメンテナンス性
外壁材を選ぶ上で気になるのが耐久性とメンテナンス性です。スタッコ仕上げは、厚みのある塗膜が外壁を覆うため耐久性に優れているとされています。実際、スタッコの塗膜は5~10mm程度の厚みがあり、同じモルタル外壁でも薄い吹き付けリシン仕上げなどに比べて防水性・耐久性が高く、およそ10年程度は塗り替えなしでも持つと言われます。
また、スタッコの主成分であるセメントや石灰は不燃性であり、防火性能が高い点も見逃せません。伝統的な日本家屋の土蔵や蔵造りの町家などに漆喰塗りが用いられてきたのも、耐久性・耐火性・断熱性に優れていたからこそです。
スタッコ仕上げはそうした漆喰塗り壁の現代版とも言え、正しく施工すれば長期間にわたって住まいを保護してくれる頼もしい外装と言えるでしょう。
一方で、スタッコ仕上げならではのメンテナンス上の注意点もあります。まず、表面に凹凸があるぶん汚れが溜まりやすいことが挙げられます。ザラザラした壁面はホコリや排気ガスのスス、雨だれなどの汚れが付着しやすく、平滑な壁よりも汚れが目立ちやすくなります。特に交通量の多い道路沿いの家や、日当たりの悪い北面の壁などはコケやカビが発生しやすい傾向があります。美観を保つためには数年おきに高圧洗浄やバイオ洗浄で汚れを洗い流したり、防カビ塗料を塗布するなどの対策が効果的です。定期的なお手入れをすることで、スタッコ壁の風合いを長く楽しむことができます。
また、スタッコ仕上げは素材が硬い反面、経年や気候変化によるひび割れ(クラック)が発生しやすい側面もあります。モルタルや漆喰は乾燥収縮や地震などでどうしても細かなクラックが生じることがありますが、スタッコも例外ではありません。小さなひびでも放置すると雨水が染み込んで下地を傷め、塗膜の浮きや剥がれにつながる恐れがあります。
したがって、スタッコ外壁も他の外壁材と同様に定期的な点検と適切な補修が欠かせません。ひび割れを発見したら早めにシーリングや部分補修を行い、被害が広がらないよう対処しましょう。
以上のように、スタッコ仕上げは基本的に耐久性の高い仕上げですが、その性能を維持するにはこまめなメンテナンスが必要です。汚れを放置せず清潔に保つこと、ひび割れや塗膜の劣化を早期に補修することが、美しさと機能を長持ちさせるポイントです。また、スタッコ壁の再塗装時には、凹凸がある分だけ平滑壁よりも多めの塗料が必要になる(一般的な仕上げの2倍以上の塗料量が必要との試算もあります)点も覚えておきましょう。塗り替え費用は多少かさみますが、その分しっかり厚みのある塗膜で外壁を守ってくれている証とも言えます。
スタッコ仕上げのメリット
美観性と質感
スタッコ仕上げの第一のメリットは、その美観性と独特な質感にあります。凹凸のある外壁は光の当たり方で表情が変化し、時間帯や天候によってさまざまな表情を見せてくれます。平坦な塗装やサイディング外壁にはない深みが生まれ、家全体に立体感と陰影が宿るのです。厚塗りによるスタッコ壁は重厚感や高級感のある雰囲気に仕上げられ、周囲の建物とは一味違った存在感を放ちます。
質感に関しても、手で触れるとザラッとした感触があり「塗り壁ならでは」の温かみを感じられます。近年はサイディングボードでも石積み調や塗り壁調の模様付き製品がありますが、やはり本物の塗り壁(スタッコ)の質感には敵いません。スタッコ仕上げは無機質な板貼りの外壁と比べて経年による風合いの変化も楽しめるため、住まいに味わい深さや柔らかな印象を与えてくれます。
さらに、スタッコは塗り重ねる施工法ゆえに継ぎ目のない一体感のある仕上がりになるのも見逃せません。ボード系外壁のようなジョイント目地が外観に現れないため、どの角度から見てもスッキリと美しくまとまります。このように、スタッコ仕上げは質感・風合い・デザイン性の高さから生み出される美観上のメリットが大きく、外観にこだわりたい施主様には大きな魅力となるでしょう。
耐候性と断熱性
次に、スタッコ仕上げの耐候性(気候変動への強さ)と断熱性についてのメリットを見てみましょう。耐候性とは、雨風や紫外線など屋外の過酷な環境にどれだけ耐えられるかという性能です。スタッコ仕上げは先述の通りセメントや石灰を主成分とした厚い塗膜で外壁を覆うため、雨水の侵入を防ぎ外壁の耐水性を高める効果があります。
表面に細かな凹凸があることで直射日光の影響も和らげ、紫外線による劣化を受けにくいという利点もあります(凹凸が日差しを拡散・吸収してくれるイメージです)。適切な施工がなされたスタッコ壁であれば、防水下地との相乗効果で台風や豪雨の多い広島市の気候でも安心して長持ちするでしょう。
また、スタッコ仕上げは無機系の厚い外壁層を形成することから防火性にも優れています。漆喰やモルタルは不燃材料であり、火災時に延焼を防止する壁材として古くから使われてきました。木造住宅であっても外壁をスタッコ塗りにしておけば、表面が燃え広がりにくくなるため防火上のメリットがあります。実際、漆喰壁の土蔵が火事でも内部を守ったという逸話もあるほどです。万一の災害時に家を守る一助となる点で、スタッコ仕上げの耐候性・耐火性は心強い特徴です。
さらに断熱性の面でも、スタッコ仕上げは一定の効果を期待できます。厚みのあるモルタル層が壁の表面を覆うことで、外気温の影響を和らげ室内の温度変化を抑える働きがあるのです。特に石灰を多く含む漆喰系のスタッコ材は調湿性も持ち合わせており、夏場の熱気や冬場の冷気を直接室内に伝えにくくします。もちろん断熱材ほどの絶対的な効果はありませんが、真夏の強い日差しによる室温上昇を緩和したり、冬の冷たい外気から室内の暖気を守ったりと、快適性向上に寄与します。
加えて、分厚い塗膜はある程度の遮音性も兼ね備えており、雨音や車の走行音を和らげる効果も期待できます。外壁塗装で家の居住性まで高められる点は、スタッコ仕上げならではのメリットと言えるでしょう。
なお、スタッコの断熱・遮音効果を最大限発揮するには下地との組み合わせも重要です。断熱材を内蔵した外壁下地(断熱サイディングや外張り断熱工法の下地)にスタッコ塗装を施せば、意匠性と断熱性を両立できます。広島市のように夏暑く冬寒い気候では、外壁に断熱性があることは電気代の節約や室内環境の快適さにつながります。スタッコ仕上げは外壁の耐候性を向上させると同時に、断熱性の面でもプラス効果をもたらす点でメリットの大きい工法なのです。
スタッコ仕上げのデメリット
施工コスト
数ある外壁仕上げの中で魅力の多いスタッコ仕上げですが、いくつか欠点も存在します。その中でも特に施主様にとって大きなハードルとなりがちなのが施工コストです。スタッコ仕上げは一般的な塗装仕上げやサイディング仕上げに比べて施工単価が高くなる傾向があります。
同規模住宅の一般的な外壁塗装費用と比べてもやや高めの価格となります。高価な意匠サイディングを張る場合と近い、もしくはそれ以上のコストになるケースもあります。
さらに、スタッコ特有の事情として塗り替え時のコストも考慮しておく必要があります。前述の通り、再塗装の際には凹凸に合わせて塗料を多めに消費するため、塗料代・工事費ともに平滑壁より割高になる傾向があります。また、ひび割れ補修や下地処理に手間がかかることもあり、トータルの維持費用は決して安くはありません。初期施工費用が高めであることに加え、将来的なメンテナンス費用も多めに見積もっておくのが無難です。
コスト以外のデメリットとしては、前述の汚れの付きやすさやひび割れのリスクも挙げられますが、これらは定期的なメンテナンスでカバーできる部分です。一方、費用に関しては施主様の予算に直接関わる現実的な問題ですので、スタッコ仕上げを希望される場合は費用対効果について十分検討しましょう。スタッコならではの美観・性能と、かかる費用を天秤にかけ、それに見合うだけの価値があると感じられれば採用を前向きに考えてよいでしょう。
なお、「デザイン性は捨てがたいが予算が厳しい…」という場合には、部分的にスタッコ調仕上げを採用するという方法もあります。建物正面や玄関まわりだけスタッコにして他は別の仕上げにする、下部だけスタッコ柄の吹き付け塗装で上部はシンプルに仕上げる、など組み合わせ次第でコストを抑えつつ意匠性を高めることも可能です。信頼できる塗装業者に相談すれば、予算内でできる最適な提案をしてくれるでしょう。
まとめ
スタッコ仕上げは、戸建て住宅の外壁塗装において唯一無二の質感と高いデザイン性を実現できる魅力的な工法です。厚みのある塗膜が生み出す重厚感・高級感は他の外壁材にはない持ち味であり、大きな強みです。耐久性や耐候性に優れ、断熱性・防火性といった機能面でもメリットがある一方、施工コストが高めで汚れが付きやすいなどのデメリットもあります。
それでも、スタッコ仕上げで得られる美観や質感は費用以上の価値があると感じる施主様も多く、実際に広島市内でもスタッコならではの意匠で魅力的に生まれ変わった住宅が見受けられます。
外壁塗装でスタッコ仕上げを採用する際は、ぜひ経験豊富な塗装業者に相談してください。湿式工法であるスタッコは職人の腕によって仕上がりに差が出るため、信頼できる業者選びが重要です。
大切なお住まいの外壁だからこそ、「デザイン性」と「耐久性」の両立を図りたいものです。スタッコ仕上げはその有力な選択肢となり得ます。本記事の内容が、外壁塗装を検討中の皆様にとって参考になれば幸いです。外壁塗装やスタッコ仕上げについてご不明な点があれば、どうぞお気軽に私たち佐々木塗装までお問い合わせください。
外壁のリフォームでお悩みの施主様は、ぜひスタッコ仕上げの魅力も選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。きっと満足のいく仕上がりになることでしょう。
最後までご覧いただきありがとうございました。
佐々木塗装は広島市安佐北区を中心に、広島県内一円を施工範囲として、外壁塗装や屋根塗装を行っています。
品質にこだわり、一軒一軒丁寧に、お施主様に寄り添って施工しております。
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